「最貧困女子」を読んだ
著者が何人もの最貧困女子に会いインタビューした内容が記載されている。
働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10〜20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、さらに目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度)という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。可視化されにくい彼女らの抱えた苦しみや痛みを、最底辺フィールドワーカーが活写、問題をえぐり出す!
読んでみてどうだったか
自分の生活の中でまず出会うことがない人たちにインタビューをしていたので興味深い。なんというか、漫画の世界の話だなと感じたし、何でもかんでも日本で一括りにできないなと思った。 漫画のウシジマくんを読んだことある人ならわかると思うが、ウシジマくんの元にお金を借りに来る人っぽい女性もちらほらいる。 ウシジマくん自体かなり取材されて作っていると聞いたことがあるので、この本を読んでみてウシジマくんの世界観は本当にあるんだなと思った。
「貧困 = 不幸せ」とは限らない
最初の方に思ったのがこれ。マイルドヤンキーっぽい女性の話が出てきた。 お金がなくても友達と助け合ったり、工夫してお金を使わないことである程度満足できる生活を送っている人もいる。 年収が極端に低い場合に勝手に大変なんだろうなと思っていたが、人との繋がりがあればなんとかなるし、何かと友達と一緒にやっていて楽しそうだ。
また、夜だけ風俗の仕事を週 1 でやっている OL の話もでてきていたが、これも全然不幸そうじゃなかった。 年収は明らかに低いのだが、むしろ風俗で稼いだお金は全て自分が好きなように使えるため、(少なからずインタビュー内では)その他の女性と変わらない印象。 むしろ仕事でのストレスが少なそうな分幸せなのではとも思った。
事実として年収がいくらとかお金の話が絡んでくるが、それは本人たちがどう受け止めるかという問題。 結局はその状況をどう捉えるかで幸福度は変わってくるのだと思う。
ただこれはあくまで一部の貧困層の話である。
最貧困層
本当にいつ生きれなくなってもおかしくないような生活をしている。
明らかに生活保護を受けた方が良い人が受けてないケースも多い。自分の感覚では生活保護を受ければ良いじゃんとか、相談窓口にいけば良いじゃんと思ってしまう。 その制度を知らない人や説明してもわからない人もいて、受けない人にはそれぞれの理由があるのだとインタビューを通じて感じる。
わからないなら調べる、それでもわからなければ聞くということが当たり前のようで、実はすごく難しいのだと思う。 そもそもちゃんと教育を受けてない人もいるし、障害がある人もいる。健常者で教育も最低限受けている人を想像するのは、前提条件がまず違う。
制度についてもちょっと調べてみたが、生活困窮者自立支援制度というものがあるらしく、相談窓口なんかもあったりする。
生活保護に関するサイトも調べてみたけど、普段から自分で調べるような人ではないとちょっと難しい気がする。
インタビューに出てきた女性たちを想像すると、これを読んでも全く理解できないだろうし、途中で読むのをやめてしまいそう。 そうなると、現状だと悪い大人が出てきて搾取してしまう。生活保護を受ける手伝いをする代わりに少し持っていく方法はよく漫画で出てくるし。
正直貧困問題にどう立ち向かうべきなのかはわからないけど、まずは知るということが大事なのだと思うのでこの本を読んでみた。 自分が知っている日本ってすごく狭い世界の話なのだと思ったし、最低限自分の身を守るためにも知識や教育は重要だと感じた。